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怖い話・恐怖体験
2020/05/29 20:38:45

風があるからぶーらぶら


小学6年生の頃、ホラー系の番組は好きなのに、暗いところは嫌いという臆病な性格でした。

でも臆病なのが嫌で、怖くて出来ないことをやり遂げれば、強くなれるんじゃ無いかと思い、
夜12時に山奥にある自分ちのお墓にお参りに行くことにしました。

深夜にそっと家を抜け出て、月明かりをたよりに山へ向かいました。
天気がよく、月明かりで遠くまで見通せる状態だったので、難なくお墓にたどり着き、お参りすることも出来ました。
ただ、あまりにも怖さを感じずにクリアできたため、「本当にこれで臆病じゃ無くなったのか?」という疑問を振り払うことが出来ません。

さらに奥にある小屋まで行ってみることにしました。
順調です。何事も無く、小屋までたどり着きました。
ふらふらした後、そろそろ帰ろうかという時に、どこからか「おーーーーい」と言う声が。

恐怖のあまり、全力ダッシュで山を下りました。
転ばないのが不思議なくらいのスピードでしたが、ふもとまで来てから、ぜぇぜぇ言いながらも、
もし今のが怪我人が助けを求めているのだとしたら?という可能性も捨てきれず、
このまま帰っては不味いんじゃないかと、ちょっとの間迷いました。

結局、確かめに行こうと恐る恐るさっきの小屋まで戻りました。
この時点で、いつものへたれに戻っていましたが、使命感みたいなものもあったと思います。
小屋に着いてから「すいませーん、誰かいますかー」と何度か叫びましたが、
何も反応が無いので、帰ろうとしました。

やはり自分はへたれだという思いもあり、最後に山頂近くにあるお堂にお参りして帰ることにしました。
山を登り、長い石段を上がり、お堂の前に来て手を合わせている時、周りにたなびいている旗とは別の揺れる何かを感じました。

旗がパタパタたなびいている中、それはゆらゆら揺れています。
嫌な予感はしましたが、想像通り、白装束を着たおばあさんが木から吊されていました。
首つりですが、体がしっかりしているので、それほど時間はたっていなかったのでしょう。
さほど動揺もせずに、警察を呼んでこようとして石段を降りる前に見た、街の景色がとても綺麗でした。

近くに派出所があり、すぐに応援も呼ばれて、親も呼び出されて事情聴取されました。
なぜあそこにいたのかと。自分が臆病で・・・お墓参りに行って・・・戻って・・・お参りして・・・訳が分かりません。
なぜ行ったのかと聞かれ「俺の勝手だろ!」と言って、親にビンタされたところまでは覚えています。

石段からみた街の景色が綺麗すぎたので、トラウマにならずにすみました。